★近畿大学医学部突破へのアドバイス
近畿大学医学部についてはこれまで多数の生徒を合格させてきました。その指導実績から導かれた経験則に基づいた傾向分析を今回行いました。
当記事を読んで頂いている方々だけに共有しておきたいと思います。
正直な話、関西圏私大医学部後期試験の受験を控えておられる受験生にとっては「読まなければ損をする」レベルです。どうぞ少しの間お付き合いください。
まずは近畿大学の入試データや各科目の傾向分析についてまとめましたので、こちらからお読みください!
★入試データ(入試科目と配点)
【推薦入試】
≪1次試験:筆記試験(300点満点)≫
英語100
数学(ⅠA・ⅡB)100
理科100(物理・化学・生物から1科目選択)
≪2次試験:小論文・面接(配点なし)≫
【一般入試前期日程】
≪1次試験:筆記試験(400点満点)≫
英語100
数学(ⅠA・ⅡB)100
理科200(物理・化学・生物から2科目選択)
≪2次試験:小論文・面接(配点なし)≫
【一般入試後期日程】
≪1次試験:筆記試験(400点満点)≫
英語100
数学(ⅠA・ⅡB)100
理科200(物理・化学・生物から2科目選択)
≪2次試験:小論文・面接(配点なし)≫
【共通テスト利用入試(前期日程)】
≪1次試験:共通テスト(500点満点)≫
英語100(リスニング20)
数学ⅠA100・ⅡB100
理科200(物理・化学・生物から2科目)≫
≪2次試験:小論文・面接(配点なし)≫
【共通テスト利用入試(中期日程)】
≪1次試験:共通テスト(400点満点)≫
英語100(リスニング20)(必須)
(数学ⅠAまたは国語(近代)から1科目選択)100
理科200(物理・化学・生物から2科目)
≪2次試験:小論文・面接(配点なし)≫
【共通テスト利用入試(後期日程)】
≪1次試験:共通テスト(300点満点)≫
英語100(リスニング20)(必須)
(数学ⅠA・国語(近代)・物理・化学・生物から2科目選択)200
≪2次試験:小論文・面接(配点なし)≫
【合格者最低点】
2021年:前期233/400・後期242/400・推薦182/300
2020年:前期227/400・後期208/400・推薦208/300
2019年:前期222/400・後期240/400・推薦189/300
★各科目の傾向分析と対策
【英語】
≪試験時間:60分 問題構成:大問5題(全て記号選択式)≫
〈分析〉全体的にかなり難しいといえます。特に大問1で出題される単語問題が鬼門です(英検1級レベルで普通の学習では解答困難)。大問2・3の文法語法問題もしっかり作り込まれており、第1問ほどではないにせよ苦戦を強いられると思います。しかし大問4・5の読解問題は打って変わって取り組みやすくなっており、さらに配点についても1問につき3点となっている(大問1~3は2点問題が多い)ため、この読解問題で確実に得点することが戦略上重要となります。
【数学】
≪試験時間:60分 問題構成:大問3題(第3問のみ記述式)≫
〈分析〉難易度そのものは標準的な問題が中心です(2022年入試は例外的に高難度でした)が、試験時間が短く、そこが近畿大学数学の難しいところであり戦略上考えるべきポイントにもなってきます。大問1・2は答えのみを記入する形式ですが、これは問題が易しいということではありません。むしろ(特に大問1の後半部分は)難度が高いことが多く、ここで時間を使いすぎると他の問題の解答時間が無くなり確実に失敗することになります。
大問3は記述式問題で、取り組みにくそうに感じるかもしれませんが、難易度は殆どの年度において標準的です。配点もおそらく1番高い(35~40点)と考えられるので、本番では時間に注意して必ず取り組みましょう。
頻出分野は「場合の数確率」・「微分積分」・「数列」・「ベクトル」です。
※10段階難易度評価:6(2022年度は8)
【物理】
≪試験時間:60分(2科目で120分) 問題構成:大問3題)≫
〈分析〉近大医学部の物理は全体的にバランスのとれた分野構成で、難易度も標準的です。ただし出題形式は国立大学に近く、私大医学部としては難しめでしょう。決して簡単な印象は受けません。試験時間は若干タイトですが出題内容には癖も無く、過去問を数年分解けば慣れるでしょう。良問の風や名問の森を用いて演習を積んでいけば十分合格点に到達できると思われます(解答解説は誤魔化しが多く個人的に好みませんが問題選定は素晴らしい(定番と言ってもよい)問題集ですので“良質な物理講師”の指導監督の下使用しましょう)。
【化学】
≪試験時間:60分(2科目で120分) 問題構成:大問3題≫
〈分析〉近大医学部の化学は私大医学部としては珍しく、細かな用語や知識を問う問題(高分子分野に多い)、また理論分野で極めて難しい(煩雑な)問題がしばしば出題されます。しかし全体から見れば標準的な問題で中心であり、試験時間についてもそこまでタイトではありません。難問にハマって時間を浪費しないこと(取れる問題だけさらっと確実に取る)というスタンスが重要です。
★非公式情報(再受験多浪差別・入学後の進級の厳しさなど)
【再受験・多浪差別】
前期後期:全く無し。補欠順位すら筆記試験の点数順に従い厳正に付けられます。再受験生・多浪生共に合格実績多数で、安心して受験できます。
驚くべきことに地域枠ですら年齢差別がありません❗️
【入学後の進級の厳しさ】
かなり厳しいです(ただしもっと進級が厳しい私大医学部も結構ありますのである意味私大医学部としてはスタンダードかもしれません)。
2019年度は6学年で90人ほどの留年者が出たみたいです。進級判定は1~4回生まで1年毎あり、留年した場合は前年の単位を全て取り直しとなります。
★近畿大学医学部合格へのアドバイス
私大医学部を含め医学部を目指しておられる受験生にもう一つ、特にお伝えしたいことがあります。それは近大医学部は「理系科目特化型」の受験生がかなり合格しやすいということです(英語が原因で総合偏差値が低くてもです)。
その一方で英語が主な得点源で数学を不得手とする受験生はかなり合格率が低いです(特に理科の選択が化学生物の受験生は極めて低い)。
これは上記の通り、英語の難易度が例年高く受験生間で(合格者を含め)差が付きにくいことが原因でしょう。そうなると数学・理科の出来が決め手となりますが、数学・物理・化学ついては「難度が(概ね)標準的」「穴埋め形式が多く部分点が期待できない」「試験時間が短い」ということにより実力に応じて点差が付きやすく、一方で生物は記述問題や細かな知識を問う問題が多く(物理ほどには)高得点は期待できません。実際のところ私がこれまで関わった受験生を見ても、数学・物理を得意(英語は極めて不得手)とする受験生の合格率の高さが目立ちます。英語が(解答速報による自己採点で)30点ほどであったにもかかわらず正規合格という例すらあります(英語はすべて4択〜5択なので勘で解いても期待値20点!)。また、「他大学が(補欠候補までは数校かかったものの)全て不合格で近畿大学だけ合格した」という生徒もこれまで数名います。
また、上で述べたように、近畿大学は再受験生・多浪生を全く差別しない極めてクリーンな入試をしております(裏を取っているので100%間違いありません!)。
(該当する方は特に)入学後の進級が厳しい事を差し引いても、是非受験を検討したいところです。
★近畿大学医学部のまとめ
①再受験生多浪生を全く差別しない極めてクリーンな入試をする大学。入学後の進級がかなり厳しいものの、医学部は入学しないことには始まらない(入学試験が最大のハードル)。是非とも受験校の一つとして検討して頂きたい。
②英語の難易度が高く差が付かないため、理系科目特化型の受験生が合格しやすい(最重要事項)。ただし、英語が得意な受験生が不利になるというわけではなく、もちろんそれ単独ではアドバンテージである。英語が苦手で数学・物理を得意とする受験生は積極的に受験を検討したい。
いかがでしたでしょうか。個人的に(これまで生徒を多数医学生にして頂いた恩もあり)近畿大学にはとても高い評価を付けています。本当に良い大学ですよ。
後期試験で当大学の受験を控えておられる受験生の皆さん、陰ながら応援しています。
頑張って下さい❗️