わたくしQ氏が文字通り身体を張ってお送りする(「モルモットおじさん」こと昔の稲川淳二みたいだが──って分かるかな?)7回読み勉強法レポート、いよいよ7回目である。普段は更新をお休みする日曜日だが、本日は特別に続きをお送りする。
7回目は6回目と同じく「要約読み」として、本文をなるべく速読し、読み終わった部分を引き続き口頭で要約しながら読み継ぐこととした。
が、この7回目、現時点でまだ終わっていないが、「神秘体験」と言いたくなるくらい不思議な成功体験が相次いでいる。6回目から引き続き、まだまだ頭は疲れているのに、7回目になって初めて味わう興奮体験が相次いだ。
なぜ5回でなく7回読むのか。山口真由名人の深謀遠慮が見えてくる気がする。
以下、取り急ぎ7回目で起こっている「奇跡」を列挙しよう。
①めんどくさい図を漫然と眺めるしかなく、その図の意味が分からぬまま「仕方がないから、そういうものだと頭ごなしに覚える」丸暗記モードに入っていた現象が、急に根本から理解できた。
地学基礎を選択していない受験生諸君にはわずらわしく感じられる内容だと思うが、解説のためにやや詳述する。
地学基礎教科書の「地球の内部構造」という部分に、地震波の解析結果から「地殻(固体)─マントル(固体)─外核(液体)─内核(固体)」という地球の内部構造を知ることができる…という解説がある。
そこに、
「地震が起こるたびに震源で発生するP波(初期微動の原因波で、タテ波)とS波(主要動の原因波で、ヨコ波)それぞれの波が伝わらない部分が、地球上の一定範囲に生じる。S波が伝わらない部分をS波の影といい、P波が伝わらない部分をP波の影というが、これら地震波が伝わらない部分を調べることで、地球の内部構造が分かる」
という意味の記述と、ある場所を震源とする地震のP波・S波が地球の各所にどのように伝播していくかを、ゆで卵を割ったような地球の断面図中にプロットした、複雑怪奇な図版が掲載されている。
この図が煩雑すぎて、とにかく分からない。地球内部に液体の鉄を主成分とする外核があると、なぜ地震波が図のような形に複雑に曲がるのか。また、なぜS波が地球の裏側に届かないのか。よく分からないまま、マゴマゴするしかない。
また、なぜ地震波を調べると、地球の中心に固体の内核が存在することが分かるのかも、よく理解できない。なぜP波の影の中に、一部分だけP波が伝播する場所が生じるのか。チンプンカンプンである。
関係ないが「チンプンカンプン」とか「トンチンカン」とかいう日本語、Q氏は好きだ。
ともあれ、この複雑な図の意味については、仕方ないからQ氏も「そういうものだ」と丸暗記モードに入りかけていたのである。
しかし、Q氏は実は「P波はタテ波で固体・液体・気体いずれの中も伝わるが、S波はヨコ波で、固体中しか伝わらない」という意味の記述を見逃していた。この文が目に入ってはいたのだが、意味がイマイチ頭の中で分かっていなかった。
S波が固体中しか伝わらないのであれば、地球内部に液体部分(外核)が存在すると、地下の深部に伝わったS波はそこで遮断されてしまう。だからS波は地球の裏側に伝わらないのである。簡単な話だったのだ。
また、液体部分も通過することができるP波は、なぜ図中のように複雑に曲がるのか。それは、液体中でP波の速度が落ち、固体‐液体の境界面で屈折を起こすからである。
そして、液体の外核中を伝わってきたP波が固体の内核表面で反射すると、P波の影の中にその反射波が届き、一部分だけP波が伝わる箇所ができるのも、確かにうなずける。
すべて高校物理の知識まで必要とせず、中学で習うような光の反射と屈折を思い出して読めば、ちゃんと理解できるのである。
が、Q氏には内容がぜんぜん呑み込めていなかった。
目で確かに読み取っている内容の意味が、頭ではハッキリ分かっていなかったのである。
それが、7回目になって、謎の方からおのずと解けていくように、スーッと理解できた。
感動である。
「確かに目では読んでいるのに、意味が分かっていない」部分というのが、文章を読むとたくさんある。そのことに改めて気づかされた。
②ただ暗記するしかないような図の内容が、図が脳裏に写真のように「コピー」されている感覚が得られたことによって、難なく記憶できていることに気づいた。
具体的には、火成岩を構成する造岩鉱物の成分比の推移を示した図で、どれがかんらん石を示し、どれが輝石で、どれが斜長石、どれがカリ長石か…などという煩雑極まりない頻出事項があるのだが、それが、もはや何を見なくてもパッと分かるのである。
図が頭の中に、文字通りコピーされている。
この感覚は、5回目くらいには、まだなかった。6回目はハッキリ覚えていないが、6回目から7回目にかけてできてきた感覚だということは、7回目になって急に気づいたことから考えて、言えるような気がする。
この図は試験にも絶対に出ると断言できるくらい重要だが、今までは出されたらどうしよう…と戦々恐々だったのに、今では、もうどこから出されても大丈夫だな…と思う。頭の中に、この図の主要部分が映像として見えているからである。
同じように、写真もかなり頭の中に定着した。だから、面倒くさい火成岩の名前と分類も、ほぼ問題なく覚えられている。ケイ長質岩が流紋岩と花こう岩、中間質岩が安山岩と閃緑岩、苦鉄質岩が玄武岩と斑れい岩、超苦鉄質岩がかんらん岩。デイサイトは流紋岩と安山岩との中間的な性質を示す、沈み込み帯の火山に多い火山岩である。
…ほら完璧だ。
なんかもう、心が「やったぜオレ、覚えちゃったよ…」感に充ちあふれている。
③覚えにくかった用語も、もうほとんど覚えている。
数回前のエントリーで「地層の褶曲パターンの背斜と向斜、変成岩の片岩と片麻岩などが、よく覚えられない」というような内容をぼやいているが、もう、この辺は完全に大丈夫である。
また、上記①とも重なるのだが、横ずれ断層のうち「右横ずれ断層と左横ずれ断層の違い」も、7回目でようやく完全に分かった。
横ずれに右も左もないのではないか、右と左は相対的なものだし…と思って読み飛ばしていたが、ずれが断層の手前から見て右なのか左なのかは、断層それぞれについて固有に決めることができる事柄なのである。だから、すべての横ずれ断層が、右横ずれ断層であるか、左横ずれ断層であるかに分類できるのだ。Q氏はやはり図は見ていたのだが、その意味が分かっていなかった。
…以上、地学基礎選択者でない諸君には「???」のオンパレードだろうとも思うが、とにかく「パねえ」レベルで理解できている。思わず泣けてくるほど理解できている。
やったぜ! かあちゃん、俺はやったぜ!(←昭和ノリ)
と叫びたくなるくらい、理解できているし、覚えられている。
な…なんなの、これ?
というくらい、本当に7回目になって、急に実感が得られるようになってきた。
う~む…なんなんだろう。繰り返しになるが、少なくともこの感覚、5回目までは絶対になかった。6回目もまだ無感動だったので、7回目に急浮上してきた感覚なのではないかと思う。
やはり、7回読みは恐るべき勉強法かもしれない。
まだ7回目を全部読み終わっていないので、読み終わってもこの充実感が残っているのか、「分かった感」は錯覚ではないのか、次回レポートしたい。