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2023年度入試で医学部(東大京大)への合格を目指す全ての受験生をサポートします。

補欠繰り上がり合格について

国公立前期試験が終わり、今年の医学部受験生諸君は、残すところ私立大学の3月入試数校、共通テスト利用入試の発表、国公立後期入試ということになっている頃合である。

戦いは終わってみないと分からないもの。既に合格を勝ち得た諸君には、心よりおめでとう。そして、まだ不安な日々を過ごしている受験生は、最後まで、とにかくやれることをしっかりやろう。

 

さて、わたくしQ氏担当のブログも、受験期モードからだんだん通常運転モードに戻ってきた。しばらく学歴の話を続けると予告したが、本日は小休止で、入試の補欠繰り上がり合格について。

 

今年初めて大学を受ける諸君は、「補欠繰り上がり合格って、本当に存在するんですか?」と半信半疑かもしれない。しかし、私立大学では、学部学科を問わず補欠繰り上がり合格は、当たり前に存在する。Q氏の指導歴でも、難関私大や私大医学部医学科で、何人もの繰り上がり合格者を見ている。

 

Q氏は担当科目が文系なので、大学受験ではいわゆる「私文」の指導歴が長いが、「なぜか補欠繰り上がり運がある」指導者という自覚があった。私立文系難関大に、受験勉強始動時は「たぶんムリ」と思われた受験生を、「補欠繰り上がりですべり込ませる」経験が割に多かったのである。私大医学部医学科も含め、記憶にあるだけでも、かなりの人数がそうやって入学した。現時点で自信がないが、どうしても難関私大に入りたい諸君。Q氏神社のお守りでも買ってみるかい?

 

…というのは冗談。実際にはQ氏だけが指導者として「補欠繰り上がり運を『持っている』とうぬぼれるのは恐らく早計で、一般的に見て、補欠繰り上がり合格の頻度はそれなりに高い、と考える方が自然である。私大の一般入試は、合格者数抑制策によって難関化が進んでいるが、それでも合格発表後の入学辞退者は当然出る。だからこそ文科省に従い、いくら合格者数を抑える方針を呑んだにしても、補欠合格は必ず出さざるを得ない。

だからこそ、今日も諸君の手許に、補欠合格通が来る。補欠合格通知は合格発表と共になされるのが普通だから、志望校について既に補欠が決定している諸君も多いだろう。

 

補欠合格者が入学試験において正規合格者と何点差なのかは、分からない。多くの場合1、2点の差だと言われる。大学によっては、補欠合格にランクをつけ、繰り上がり合格をランクごとに発表している。例年、〇×学部はBランクまで繰り上がるとか、△△学部はAランクでない限り繰り上がりは絶望的だとか、実績に基づいた予測がまことしやかに流されるが、昨年までの実績が今年の繰り上がり合格実績を直接左右するわけではないから、あくまでも予測は予測に過ぎない。

 

補欠合格の通知を得てから、実際に繰り上がり合格するかしないかの最終結果を得るまでは、大学にもよるが、通常かなり長い日時を要する。Q氏の指導経験では、実際に受験生の自宅に繰り上がり合格の電話が入るのは、どの大学でも3月末、しかも25日以降にずれ込むことも非常に多い。これは私大医学部でも同じだと思う。

 

補欠繰り上がり合格が明らかになるのが3月末だということは、すなわち次のことを意味する。

①補欠合格した受験生は、次年度が開始される4月1日の直前まで、自分が繰り上がり合格できるかどうかの結果を知ることができない。繰り上がり合格していれば嬉しいが、補欠合格通知だけもらって、とうとう繰り上がらない受験生も多数いるから、へたに補欠合格した人は、3月末まで蛇の生殺しのような気分を味わう。

②補欠合格が第1志望だった場合、合格した滑り止め校にはやむを得ず入学金を払う例が多いが、繰り上がらず浪人を決める場合、予備校の手配などがいつまでもできず、困惑する。

③万が一繰り上がり合格した場合も、入学式まで日がないため、入学手続きや、遠方の場合の下宿探し家具調度品の調達などをごくごく短期間で行わなければならない。特に不動産物件探しがゆっくりできず、場所によっては学生向け物件がかなり埋まっている等、苦戦する例を多く聞く。

 

受験生にとっては、補欠合格はかえって非常に悩ましいようだ。それでも繰り上がり合格すれば、すべての苦労は帳消しになるが、3月末までさんざん待たせておいて繰り上がらない場合、受験生は年度の切り替えギリギリまで進路を決めることができず、なおかつ少しは期待していただけに、精神的なダメージも大きい。現に、第1志望あたりに補欠合格したが繰り上がらず涙を呑んだ受験生は、かなり後になってからも、補欠で繰り上がらなかった悪夢をフラッシュバック式に体験するという。

 

心臓に悪い、実に罪作りな制度とも思うのだが、こればかりは致し方ない。今後も補欠合格をめぐる「蛇の生殺し問題」は続くだろう。

だから、補欠合格通知を受け取った受験生にQ氏が言いたいことは、

「補欠は落ちたと思え」

である。繰り上がりの連絡を、わずかな期待を抱きながら待つ精神的負担は、予想以上であるようだ。繰り上がることもある代わりに、補欠と出たのにとうとう繰り上がらない例もかなり多いことを知ると、期待を3月末まで引きずり、挙句の果てに不合格が決定する精神的拷問が待っている公算も、非常に高いのである。

だから、とにかく補欠合格は「なかったことにして」日常を暮らそう。頭の中から完全に追い出した方がいい。第1志望が補欠で他校が全落ちなどならば、浪人の覚悟を早々と固めるべきだろう。繰り上がり合格の頻度が非常に低いわけでもないが、繰り上がり合格しない場合も非常に多いのだから。もはや誰も結果を予測できないのである。

 

「期待しないで待つ」は人間心理の仕組み上、非常に難しい。待つことは必ず期待を含むからだ。しかし、補欠合格という罪作りな制度がある以上、それに適応するには、この不自然な「期待しないで待つ」の精神修行を新たにこなさなければならない。

何も考えず、翌年も受験するつもりで今まで通りの勉強を開始しているのが、一番よいのではないだろうか。

 

この瞬間も、補欠合格の諸君はやきもき、じりじりしていると思うが、都合よく焦りが解消する瞬間が、しかも早めにやってくることは、まずないのである。

もちろん、繰り上がり合格した諸君は、補欠繰り上がり合格であることにいっさい劣等感を覚えずに入学してよい。どうせ1、2点の差なのだ。Q氏の指導歴でも、大学に補欠合格した学生さんは皆、大学生として立派にやっている。補欠繰り上がりであろうと、大学は入学してしまえば勝ちというものなのだ。

 

さて、では次回から、引き続き学歴の話に戻ろう。