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あとが肝心(3)──兜の緒はちゃんと締めよ

さて、共通テストが終わり、私大医学部受験が始まる段階で、わたくしQ氏から「今後の心得」というようなお話を差し上げているところだ。前回より続く。

 

(2)成功ほど恐ろしいものはない

さて、共通テストで「失敗した」という自覚のある受験生は、実はまだ幸いなのである。Q氏はそれなりの年数、大学受験生にお付き合いしているが、今までの指導経験から、大学受験に関し、一般の人があまり想像していないような「傾向」をいくつか読み取っている。統計ベースに基づかない経験則だが、それによると…。

 

まず「D判定は絶望ではない。C判定は受からないと恥」という経験則。

共通テストリサーチ(Q氏はかつて「センターリサーチ」と言っていた人間だから、この名称は新鮮だ)など、2次試験出願前の最終結果で見ると、D判定の受験生はまず「落ちた」と思うのが普通だろう。

が、2次での巻き返しがほぼ不可能と判定できるのは「どん底E判定」くらいであり、その他の判定の人は、合格可能性が低いようでも、ちゃんとそれなりの数の合格者を出すのである。

 

特にD判定は勝負どころで、逆転合格者は一定割合で出る。しかし案の定な不合格者も多く出る層だから、まさに「のるかそるか」のスリリングな判定レベルだと言えそうだ。E判定の上の方も、合格者はさらに減るが、似たようなものである。この辺の判定は、母集団の数やメンバーが変わると、ガラリと変わるのだ。

特に、D判定の合格者は、諸君が思っている以上に多いというのがQ氏の肌感覚である。

しかし、この辺の判定の人は、安心して勝負できるというノンキな層ではないのはモチロンである。D判定ならびにE判定の比較的上の方の場合は、キッチリ滑り止めを確保した上で、Q氏であれば間違いなく勝負に出る。人生の大きな転機では、誰もが、一度はギャンブラーとして大勝負に出た方がよい。勝てたら人生変わるからね。負けたらどうするって? …来年リベンジするまでさ!

 

そして、C判定となると合格確率はほぼ半々とされるが、Q氏の指導する学生さんに関しては「C判定は合格」と見ている。と申すか、Q氏はふだん「Cで受からないのは共通テストからの踏ん張りが足りない証拠だから、受験生として恥ずかしい」とまで言い切っている。

それくらい、C判定の人はカジュアルに受かる印象だ。ぜんぜん絶望するに当たらない、とQ氏は考えている。むしろ、C判定くらいの方が緊張感が持続していい。

 

実際に、直前の判定結果で最も合格者が多いのはA,B判定であることは間違いないだろう。

 

しかし、さらにQ氏が指摘したい「意外な事実」は、「A判定の不合格者が想像以上に多い」ということなのだ。

共通テストで華々しい成果を収め、これで2次も私大も行ける…と小躍りしていた受験生が、まさかの全落ちに近い状態で、かなり下の方の滑り止めと考えていた私大にしか受からない…すごくよくある話だ。

ちなみに、B判定の不合格者の方がずっと少ない気がする。気のせいかもしれないが、不合格になる受験生がいるとしたら、B判定からではなくA判定から多く出るような感覚が、Q氏にはある。

それくらい「A判定は危ない」とQ氏は認識している。

恐らく、E判定とちょうど正反対に、「絶対的に上の方、いわば雲の上のA判定でない限り、逆転されて不合格になる可能性が常にある」と考えるべきなのだろう。

 

まさしく「勝って兜の緒を締めよ」なのだが、受験生諸君には、こういう「戦陣訓」が実感として理解できない人も多いのだろうと思う。

Q氏だけではない、古人からえんえん言い伝えられている教訓なのだが、近ごろの受験生にはこういう話を「出たよ、老害の説教が」と軽蔑し、はなから聞く耳を持たない人もかなりいる。

が、いくら諸君がコスパやタイパやカッパや天パを追求しようが、物理法則をはじめとする「法則」には逆らえない。勝って兜の緒を締めたくなければ、どうぞご勝手にと言うしかない。実戦経験をたくさん積んだ先人の遺訓に聞く耳を持つ謙虚な諸君だけ、順当に兜の緒を締めて、どうか望んだ成果を勝ち取ってください。Q氏も応援しています。

 

A判定に油断して不合格になる人が出てくれるからこそ、判定が悪くても最後まで諦めずに戦い抜く人が合格できるのだから、油断して自滅してくれる人バンザイ! である。あなたはすばらしい。温泉旅行ぐらいプレゼントしてあげてもいい感じがします。

 

…などと皮肉たっぷりに書くと、ちきちょう、そんな罠にまんまとハマってたまるか…と思うA判定の諸君も出てくるだろう。その意気やよし。Q氏の思うつぼである。

 

けっきょく、なに判定であろうと、全力で最後まで戦うだけの話だ。受験生諸君、しまっていこうぜ。さらに次回に続く。