共通テスト受験生諸君、自己採点は終わりましたか。
また、早くも私立大学医学部1次試験が始まる。受験生の皆さん、交通手段の確保とコンディション調整に留意して、がんばりましょう。しばらくは試験続きだ。
(1)共通テストは「失敗」が普通(つづき)
さて前回、共通テストでは、失敗(さらに、1~2科目の失敗=「プチ失敗」と、3~4科目以上の大失敗とに分けられるだろう)に終わる受験生の方が多いというお話をした。落ち込んでいる諸君も多いと思うのだが、ちょっと待て、という話である。
どんなに誠実に頑張っている受験生諸君にも、ふつう見えていないものがある。それは「世の中全体」だ。受験生集団全体の特性である。
要は、巨視的視点から見た全体像、俯瞰図である。そんなの、懸命に(むしろ視野を狭めて)勉強してきた受験生が、持てるわけがない。
しかし、多くの人が参加するゲームで「勝つ」プレイヤーは、ゲームの場全体を俯瞰して眺める視点を持っているものだ。その視点がなければ、今から持ちたまえ、とわたくしQ氏は、引き続き「上からド直球で」申し上げたいのである。
よく考えてみれば誰にでも分かることだが、前回述べたように「1回の勝負では、だいたいの人が失敗する」という統計学上の傾向=法則が本当に見られるとすると、どうなるだろうか。
「ほとんどの人が失敗する中、自分もそれらの人々と同じく順当に失敗しただけであって、志願者全体で見れば、まだまだ全然勝負はついていない」
という結論にならないだろうか。
それは理屈の上だけの話に過ぎないのでは…と思う諸君、あにはからんや、である。こういう統計上の法則は、プレイヤーが多いゲームにおいては、非常に信頼性が高い。統計学の専門家にならなくてもよいから、統計的な考え方、確率論に基づいて行動するクセをつけると、けっこう当たるのである。
正確に言えば、既に「不思議の勝ち」を収めている受験生は確かにいる。或いは、圧倒的実力の持ち主は、多少失敗しても志望校の志願者中の順位に影響が出ないかもしれない(そういう人は、さらに非常に少ないだろうが)。
が、一般の受験生は、そういう「成功ムード」の受験生は、そもそも割合が非常に小さいことに気づく必要があるのだ。
割合が小さいとはいえ、皆さんの周囲にひとりやふたり、或いはそれ以上、必ずいる程度の数は存在する(全体の2.5%しかいない特性の持ち主も、40人に1人いる計算になる)。特に、全国的にみて高い学力層の生徒を集めた有名進学校には、成功組も多いはず。「やばい」と思っている受験生は、そういう「勝ち組」の話はすべてスルーすべきである。喜んでいる当人には悪いが、ミツバチの羽音と同じ、雑音に過ぎない。
失敗に泣いている受験生諸君の直接のライバルは、そういう成功組ではない。
同じように失敗に泣いている、少なく見積もっても8割以上の受験生なのである。
結局、国公立のみならず、私立を視野に入れても、共通テスト終了段階では、まだ全然勝負がついていない、と肝に銘じるべきである。ここからが長いぞ。
いや、正確に言えば「あまりにもひどく失敗した場合は、2次で得点できた場合を考えても、全体での巻き返しは難しいかもしれない」という、最低でもそれくらいのことは言えるかもしれない。あくまでも、それくらいだ。
だから、共通テストの結果を踏まえた国公立の合否判定が「お話にならないくらい下の方のE判定」であれば、すなおに志願変更するのは手だろう。そういう時は諦めが肝心だし、思い切って私立一般入試に賭けるのも勝負の常道だ。神さま仏さまが「別の大学にしなさい。そこにこそお前の生きる道がある」とおっしゃっているのかもしれない。
が、D判定以上の受験生は考えた方がよい。勝負に出て巻き返しを図るか、素直に撤退するか。素直に撤退すれば、今の時点ではあなたと同じ条件の受験生がひとり、あなたをさし置いて合格することになる。それでもよいという人は、素直に他人に道を譲るのもよいだろう(そういうのを他人の「思うつぼ」という)。
が、くやしい…このままでは終わりたくない…という人は、今すぐ勉強を開始すべし。
だいたい、受かるのはそういう人なのである。幸いなるかな、そういう人。天国はあなたがたのものだからである。
ちょっと話が長くなるが、次回もまだ「今後の心得」について話題にしよう。