オンライン医学部予備校

2023年度入試で医学部(東大京大)への合格を目指す全ての受験生をサポートします。

勉強法武者修行30(終)──勉強法こそはすべて

さて、わたくしQ氏が青息吐息でお送りしてきた7回読み勉強法レポート、大団円である。

 

同時に、昨年11月から半年にわたって当ブログを担当してきたQ氏の担当回も、本日をもって最終回である。医学部受験生の皆さん、そうでない読者の皆さん、半年間、Q氏の好き勝手な記事にお付き合いくださり、まことにどうもありがとうございました。

 

実はQ氏というのは、わたくし人間のQ氏が溺愛していた猫の名前で、ヒゲのような不思議な模様のある、白黒長毛の個性的なオス猫だった。が、広い外の世界を知りたいと思ったのか、ある日室内から脱走し、そのまま帰らなかった。今はもう恒星となって中心部分で水素の核融合を行いつつ、夜空に輝いているだろう。Q氏というのはその猫を記念したペンネームである。

猫のQ氏が「乗り移った」ようにして、昨今の人間界の大学受験事情や学歴社会をナナメ上から観察してきた当ブログ記事だが、期せずして吾輩は猫であると同じ構造をもつこととなったわけである。

記事を閉じるに当たって、猫のQ氏からも霊界メッセージをお送りしたい。

 

「rgじろう8あSzrctgwRAVRFNOIWDV;:」

 

…だそうである。キーボードの上を歩いちゃったみたいだね。

 

さて、わたくし人間のQ氏の体験による、7回読み勉強法の感想と、勉強法についてのメモである。

 

まず、7回読みの長所と短所について。

 

〈長所〉

やはり圧倒的に内容が身につく山口真由名人「テキストを脳内にコピーする」とおっしゃっていたのは本当で、特に図表などの内容が脳内に映像として定着するから、いざとなればその映像を「読めば」いいという、直感像素質者みたいなマネができる。

教科内容も非常によく分かった気になり、身体の芯にポカポカと熱い「学問の核」みたいなものができる。どんな問題を出題されても、間違えることはあるが、何も分からないということはめったにない。問題の題意を理解でき着手するための方針もおのずと分かる。

また、最初に「サーチライト読み」3回を入れることで読みの負担がやや緩和されており、いきなり細かく読み始めるより、ずっと継続しやすい。いわば「薄く溶いた絵具を塗り重ねる」ような読み方であり、教科書を繰り返し読むという学習方法の中では、1回1回の負担が比較的少ないと思う。

 

〈短所〉

成果は華々しいが、とにかく時間もかかるし根気も要る。Q氏はブログのネタとして義務的に継続できたが、自発的に着手して挫折する人は多いだろうと思う。逆に言うと、7回読みをやり遂げることができる人にはちゃんと成果が待っており、やり遂げられない人には、約束された結果は手に入らない。目的意識を持って、めげずに継続できる人(Q氏がそうだと言うわけではないが)でないと、中途挫折の危険性が非常に高い方法であると思う。まあ、読んだ回数だけ身につくものはあると思うのだが。

前回のまとめで触れた読書タイムでだいたい分かるのではないかと思うが、「平読み」の1回目である4回目が非常につらい。1回ごとの負担が少ないとはいえ、7回読まないと内容の定着度に疑問があり、回数を短縮できない気がするので、回数を重ねて時間を費やす心理的負担に耐えられるかどうかが、すべてではないかと思われる。

また、7回読みをやったからといってポカミスはなくならないし、重箱の隅をつつくような知識を出題されると、対応できないことはまだある。共通テスト8割以上はそういう領域での勝負になる。

 

かくの如く、7回読みは有効な方法として受験生諸君に推奨したいが、着手にはある程度の覚悟が必要である、とも申し上げておこう。

これは、社会人の勉強にもバズーカ砲のような有効性を持つと思う。Q氏は社会人の皆様にも、声を大にして7回読みの有効性をお伝えしたい。

 

さて、このように「勉強法」をいかに開発していくかが、勉強を継続し、成果を挙げていく上では非常に重要ではないかと思う。勉強の成果が挙がるかどうかは、一に勉強法、二に勉強法、三、四がなくて五に勉強法、というくらい「方法」の開発が大切であると思う。

勉強の仕方にもいろいろある。学校での勉強と、教科書を繰り返し読む方法を除いて、以下に検討してみよう。

 

①予備校や塾などで講師の先生に教わる。

生きた人間というのは、教科書に書かれていないノウハウを持っている。自分の体験や指導した学生の様子から、有効な方法や、そうでない方法を長年にわたって検討しており、分かりやすい考え方や覚え方、違った角度から問題を検討する視点、教科書や参考書には書かれていない重要事項などを独自に蓄積している。経験豊富で分かりやすい指導者に就けば、半年かかっても分からなかったところが5分で分かったりするものである。情報時代とはいえ、本当に生きた情報は生きた人間についているものだ、という事実は変わらない。予備校ブログだから強調するわけではないが、生きた指導者に教えを乞うことの大切さは、ひとつの道を踏み固めていく上では必ずどこかで痛感する事柄である。

勉強というか学問も武道のようなもので、道場で師範から教わると、受け取る情報量が違うのである。

ただ、教えてもらって理解した気になっただけでは、問題がまったく解けないという事態に陥りやすい。問題演習を別途自分でやり、その結果を講評してもらい、自分が現時点でどの段階まで来ているのかを確認する作業は欠かせない。

 

②参考書や問題集で独学する。

これも大切な方法である。教科書の7回読みと同じように、繰り返し問題を解き、繰り返し参考書を読むことが、知識の定着のためには必要である。独学のノウハウをまったく持たない受験生は、志望校に合格しないのが普通である。

一般入試で大学に受かる受験生は、講師に教わる以外に、必ず「自分だけの勉強法」を開発している。予備校や塾の授業に受け身に従っているだけでは、合格は不可能だと早くから理解して、自分で問題演習や教科書・参考書の読み込みなどを行い、その成果を予備校や塾でチェックしてもらい、アドバイスを受ける…というのが理想的なやり方ではある。

参考書や問題集の欠点は、まず読みにくく、頭に入りにくいこと。また、1冊だけ使っていると、その本に載っていない事項がまるまる抜けたり、各項目相互の関連がいつまで経っても見えなかったりする点である。経験豊富な指導者に就けば「A項目はあとのB項目と関連してくる」とすぐに教えてくれるが、参考書ではA項目はA項目、B項目はB項目としか書いておらず、その分野で経験が少ない学習者には、その相互の関連がぜんぜん見えてこない…などということが多い。独学は効率が悪いという面は、確かにある。

が、独学のよいところは、内容が非常によく身につくところである。他人から講義を聞くだけではいまひとつ定着感が薄いという人は、よい参考書や問題集を自分で選定して、地道に独学した方が成果が挙げられる。

参考書や問題集の選定には、ネット上の情報も大いに参考になるだろう。

 

①②の両方を組み合わせると、受験生の皆さんが大好きな「最短距離での実力アップ」が可能なのではないかと思うが、いずれにせよある程度の金額の投資は必要だし、講師選びや参考書選びもかなり重要である。

受験生諸君には、くれぐれも「選択を他人まかせにしないこと」を推奨したい。いい先生、いい参考書・問題集については、普段からくれぐれもアンテナを張り巡らせて情報を集め、自分から積極的にアプローチして探すようにしたい。

そして、自ら納得行く先生や参考書・問題集を探し当てたら、しばらく浮気しないで、自分が選んだ相手と「添い遂げて」みることである。コロコロ浮気する優柔不断な受験生も、また合格率が低いものだ。

 

さて、ゴールデンウィーク開始のタイミング、来年度の受験生にはまだまだ危機感も湧いてこない頃合かもしれないが、時間というのはどんどん経ってしまうものだし、受験勉強を早く開始したとしても、先に行ってから何のアクシデントが起こらないとも限らない

いまできることを、少しずつやろう。

 

医学部受験生の皆さんのご健闘をお祈りする。