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共通テスト5つの誓い

いよいよ共通テスト前日。大雪警報発令の地域にご在住の受験生諸君、交通機関の乱れなどに気をつけて、余裕を持って家を出てくださいね。

さて、わたくし国語講師のQ氏から、受験に臨む皆さんへ。

 

Q氏が子供の頃の話をしても仕方がないが、その頃はテレビ全盛期だった(歳がバレるが、バレてもいいや)。いまの「オワコン」ぶりが信じられないくらい、テレビは面白かった。いまはゲームやアニメやYouTubeに耽溺している受験生に発破をかける立場のQ氏も、もちろん人のことが言えたガラではなく、幼少期からテレビの漬け物みたいな存在だったのである。

子供の人気番組に、昭和仮面ライダーシリーズや、昭和ウルトラマンシリーズがあった。Q氏も物心ついた時から、これら番組にドップリ浸っていた。幼年期の家族写真には、必ず仮面ライダーの変身ポーズをとって写っている。

 

これはウルトラマンのあるシリーズの最終回だったと思うが、最後の怪獣を倒して正体を明かし、ふるさとの星に帰るウルトラマンが、地球で一緒に過ごした少年「次郎くん」に遺した「ウルトラ5つの誓い」という教訓があった。

 

一つ 腹ペコのまま学校に行かぬこと

一つ 天気のよい日に布団を干すこと

一つ 道を歩くときには車に気をつけること

一つ 他人の力をあてにしないこと

一つ 土の上を裸足で走り回って遊ぶこと

 

怪獣や宇宙人相手に壮大な戦いを繰り広げてきたウルトラマンの遺言にしては、めちゃくちゃスケールが小さいでしょう。Q氏はこの最終回に長らく不満であった。視聴者の代わりの「次郎くん」に永遠の別れを告げるウルトラマンの言葉としては、なんと卑俗な内容の羅列であろうか。詩のカケラもない、ぶちこわしの最終回とQ氏には思えたのである。

 

が、子供番組の作り手の年齢になって、いまはこの「5つの誓い」に込められた子供たちへのメッセージがよく分かる。

ウルトラマンだからと言って、子供にいきなり実践できないような遠大な目標を示しても仕方がないのだ。子供には、子供にひとつひとつ実践できる内容を、勇気と責任感をもって着々と遂行することだけを求め、あとはその子がおのずから成長し、地球のために怪獣や宇宙人と戦える、立派なオトナになってくれることを祈るだけなのだ。

 

国語の読解的な立場から読めば、ウルトラ5つの誓いのキモとなるのは4つめの誓い「他人の力をあてにしないこと」だろう。この誓いだけ内容がやや抽象的で、実践するために思考と試行が必要だ。ウルトラマンは地球の子供に何よりも「自立」を求めている。

そして5つめの誓いは「自由」の尊重である。土の上を裸足で走り回って遊ぶ。試験会場に向かう諸君は、今までこれを実践してきただろうか。

 

さて、ここまで書き連ねて「ウルトラ5つの誓い」のパロディというのもナンだが、そろそろ会場に近づきつつある受験生の皆さんに「共通テスト5つの誓い」を捧げたい。

 

一つ 腹ペコのまま試験会場に行かぬこと

一つ 空を仰いでひとつ大きく伸びをすること

一つ 行きの交通機関では席をゆずること

一つ 他人の力をあてにしないこと

一つ 休み時間に答え合わせをしないこと

 

さあ、みなさんの舞台が始まる。健闘を祈る!