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体調管理を気にするべきか

共通テスト終了の声を聞いたばかりだというのに、もうすでに私立大学医学部・私立医科大学の1次試験が複数校実施された。さっそく受験を済ませた医学部受験生の皆さん、どうもおつかれさまでした。

すぐに次の試験が控えている人も多いだろう。なるべく気負わず、ふだん通りの実力が発揮できるよう、こういう時だからこそ敢えてゆったり構えて試験に臨んでください。自宅から会場に行く受験生だけでなく、試験のために宿泊している受験生は、前日はなるべくシャワーで済ませるのでなく、バスタブに浸かって入浴した方がいいらしいですよ。

 

さて、日本の大学受験は、新型コロナウイルス出現前からずっと「風邪と雪の季節」に行われている。財政年度が4月に始まる以上仕方がないことで、大学だけ欧米に合わせて9月開始とすると、今度は交通機関が乱れやすい豪雨の時期の入試となり、現役生のインターハイとも重なる。日本の場合、入学時期をいつにしても、入試は何らかの悪条件を伴う季節に設定せざるを得ないようだ。気候のよい10月あたりに入試を設定すると、地域によっては吹雪の入学式になりかねない。

 

今年はまた新型コロナの変異株が出現し、再流行の兆候が現れている。コロナ以前の時期と同じように語れないのはわたくしQ氏も承知しているが、この時期になると特に諸君の周囲のオトナの口から合言葉のように聞かされる「体調管理を万全に」というコトバについて、昔から考えていることを述べて、受験生の参考になるようなら参考にしていただきたい。

 

「体調管理」は確かに、大切は大切である。なにも受験期に好きこのんで暴飲暴食をしたり、いきなり寒中水泳をして風邪を引いたり、インフルやコロナをもらいそうな場所にわざわざ出向いたりする必要はない。睡眠時間もなるべく増やす方が頭にはよいから、この時期になって過剰に根を詰め、あまり夜遅くまで勉強するようなことはしない方がよいだろう。

 

オトナ社会にも、ふた言めには「体調管理」とのたまう人(上司など)はたくさんいるし、Q氏が高校生だった頃にも、「体調管理!」と叫ぶのが大好きな先生は必ずいた。

が、高校生のQ氏から見ていると、体調管理を声高に叫ぶオトナほど、どことなく保守的で頭がカタそうな人が多く、正直、あの先生の意見はあまり根本から参考にはならないな…と受け流したくなるケースが多かった。体調管理が大好きなオトナの皆さん、ごめんなさい。

しかし、その後の人生においても「あ、この人はアタマの中が若々しくて、柔軟だな」と感心する人で「体調管理!」という人はひとりもいなかったのである。

Q氏自身も、好んで石頭と思われたくないから…ということもあるが、そもそも「体調管理!」と言う必要性自体を感じないので、受験生に「体調管理!」を叫んだことはない。ただ、睡眠の重要性と効果は数多くの実証例によって知っているつもりだから、受験生には睡眠の大切さだけは話すようにしている。

 

なぜ「体調管理!」と言いたくないのか。それは、

 

①そんなこと、医師でもない他人からうるさく言われることではないから。

②体調管理をしつこく言う人は、Q氏の観察によれば、むしろ他人そのものを管理したがるタイプの人ではないかと疑われ、Q氏はそういう人の仲間に入りたくないから。

体調管理にいくら気をつけても、体調を崩すときは崩してしまうものだから。

④体調を崩すことに過剰な恐怖心を持つこと自体、気持ちを萎縮させ、試験以外に無用な心配事を増やすことになるから。

 

最も大きい理由は③、次が④である。特に③について付け加えれば、人はどんなに気をつけても、試験当日に限って風邪を引いてしまうような時は、引いてしまうものなのだ。新型コロナに関しては事情が違うと言えば違うが、死者数が多いとはいえ軽症化した新型コロナも、もはやインフルエンザと同列に見てよいかもしれない。「自分はかからない」という自信がいくらあっても、流行中の感染症は、思いがけないところから拾ってきてしまうものなのである。

受験期に移動しないわけに行かないから、コロナのない時代にも、風邪やインフルエンザはもらって来やすかった。自己管理を徹底しようがしまいが、季節性の感染症リスクは常にある。さらに交通事故の危険や、遅刻に結びつくようなその他トラブルに見舞われる確率を考えれば、無事に試験会場にたどり着けるかどうかさえ、危ぶみ出せばきりがないのである。

 

だから受験生諸君に必要なのは「病気にならぬようビクビクしながら過ごす」ことではなく、(周囲に広げてしまう危険性が大きい感染症でない限り)多少は体調が悪くとも、とにかく試験会場に行って試験を受けること」だろう。普通の風邪ならば、多少熱があっても会場に行き、試験を受けるのである。当日のチャンスを逃したら、次に受験できるのは、多くの場合1年後ではないか。

試験を受けられない状態にまで行ってしまう病気は、高熱よりもむしろ胃腸の痛みである。それも、急性の消化器疾患を起こしたのでなければ、たいていはトイレに行けば済む話だ。身体のコンディションに万全を求めすぎると、気持ちがそちらに向きすぎてしまい、試験どころではなくなってしまう恐れがある。

「這ってでも会場に行き、熱に浮かされてでもいいから、とにかく受ける。」そう大胆に決心できれば、あんがい風邪も引かない。人間とはそういうもののようである。繰り返しになるが、試験会場に指定がなされている感染症や、命に関わりそうな急な症状などの場合は除く。それは当たり前ですけどね。

 

Q氏がそういう「昭和的スパルタ」なことを言うのには理由がある。Q氏自身が受験生時代、本命校以外の入試日にすべて体調不良に見舞われた経験があるからだ。不安によって一睡もできなかったり、風邪を引いて鼻が詰まってしまったり(当時は別室受験が一般的ではなく、鼻をすする音で周囲の受験生には迷惑をかけてしまった)…入試の日になると何かあるのである。さんざんだった。

が、不思議なことに「火事場の何とかヂカラ」か、体調が悪かった試験日ほど試験結果がよかった。頭がもうろうとして、緊張などいっさいせずに済んだのが良かったのかもしれない。ほとんどの日程で、試験が終わるとその場に倒れ込む、試合終了後のボクシング選手みたいな状態だったが。

そして、体調不良に悩んだ受験校が多かったことを教訓とし、本命大学の入試日は体調管理を万全にし、すべてに余裕を持って試験に臨んだ。

ところが、あにはからんや得意科目の時間に妙に緊張してしまい、冒頭30分ほど、いくら読んでも問題文の意味が分からないという失読症ディスレクシア)的な状態に陥ってしまった。30分経過後に急に文章が頭に入るようになったため、残った問題を慌てて解いて何とか時間内に終わったが、あれは危なかった。「コンディションを万全に『管理』していればいいというものではない。試験は常に不測の事態との戦いなのだ」ということを強く認識した経験である。

 

だから、Q氏も受験生諸君に「体調管理!」とは言わない。その代わり、何があっても開始時刻までに試験会場に行き、どんな状態であっても試験を受けてください。体調最悪の時ほど試験に受かる…というのは、Q氏以外の何人もの口から聞いたことがある。

 

今日も諸君の健闘を祈る!