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皆が休んでいる時にやり、皆がやっている時に休む

受験生がやたらに悲観的になる11月のこの時期、「とうとう今に至るまで、勉強をまじめにやっていない」受験生も、もちろんたくさんいるはず。

わたくしQ氏が色濃く記憶している昭和末期~平成初期は、マージャン・パチンコ三昧、バイト三昧、恋愛三昧などという「豪快さん」な受験生がたまにいて、みな全力で「それなりの結果」にたどり着いていた。そもそも世の中、あまり真面目な人ばかりでできているわけではないのである。

マイペースで豪快な受験生に向けての記事はまた別の機会にお送りするとして、今日は「真面目に勉強していて、なおかつ不調に苦しんでいる受験生」にお話を差し上げたい。

 

あまり実感できないという皆さんもいるかもしれないが、人間、身体的な疲労や心身のストレスに大いに影響される生き物である。

特に身体の疲労、或いは身体の一器官としての脳の疲労を、決して甘く見ない方がよい。秋の深まりとともに皆さんが経験する「気分の落ち込み」は、自律神経の乱れをはじめとする生理現象に由来することが、思った以上に多いのだ。

 

ボディビルで虚弱体質を克服しようとした昭和の作家・三島由紀夫は「神経衰弱など、乾布摩擦で治る程度のものだ」という意味のことをうそぶき、同業の文学者たちの「内面」信仰をあざ笑った。若年のQ氏には、三島のこの発言は強烈なハッタリに思えたが、中高年に差しかかると、身体の状態がいかに精神を支配するかという意味ならば、三島の言う通りとも思えるようになる。

うるわしき青春のただ中にある受験生の皆さんは、自らの若さを実感することなど決してないだろうから、身体のコンディションには概して無頓着だろう。普段はそれでいいのだが、こと受験期のスランプにかかわるとなれば、話は別だ。真面目にやっているからこそ、逆に「討ち〇にモード」に入りつつある焦りを覚えている皆さんは、自分の心の不調が、多分に身体の不調に由来している可能性に思いを致してほしい。

 

不調の原因の大きな部分を占めるのは、一にも二にも睡眠不足。わずかな睡眠不足が作業効率を劇的に落とす事実は、各種の研究によってすでに知られている。睡眠は、昼間の経験を脳内で咀嚼し、組織しなおす能動的な役割を担っていることが、大脳生理学上も明らかにされつつあるようだ。特に「数学は寝ないとだめ」だと言われる。英語や理科社会など、事項の記憶を求められる科目も、睡眠不足に影響されやすい。

 

「勉強しなければならないのに、寝ている暇はない」と反発する受験生も当然多いが、そういう「常識」にとらわれているアタマの固い人が、真っ先に消えていくのが世の常である。素直すぎるのは考えものだ。また、そもそも、そうのたまうご本人が、以前は、すべき時にちっとも勉強せず、今に至る窮地を招いてきた前歴があることが多い。

 「できる人は、あえて寝る。」

この時期だからこそ、睡眠時間を確保するために、勉強と睡眠以外の時間の使い方を見直す方が賢明ではないかと思う。

 

また、勉強を休むことへの罪悪感と焦りに支配される「魔の11月」こそ、数日でよいから、積極的なリフレッシュ休暇をとることをおすすめしたい。

Q氏はすでに数多くの受験生で「実証」済みだから、敢えて進言するが、「休みたくないわりに、ヘロヘロで勉強が進まず、成果も挙がらない」11月だからこそ、1日でよいから完全なオフ日を設け、好きなことをして気晴らしをしてみてほしい。

受験生のパフォーマンスは、それだけでかなり上がるものだ。11月に休みをとることで、1月から始まる本番まで続くスタミナが得られるのである。

 

1日2日、すべてを投げうって寝るもよし。友達が乗ってくれればの話だが、誘い合わせてスポーツに興じたり、無駄話を楽しんだりするもよし。

個人的なおすすめは、コロナ明けのリフレッシュも兼ね、美術館や映画館、コンサートなどで目や耳を楽しませることだ。紅葉を見に出かけてもよいだろう。ただ寝て過ごすよりは、勉強の間に使わない感覚器官を積極的に刺激することで、脳が「リセット」される爽やかさを味わえることがある。

 

成功には「逆張り」の発想が必要だ。多くのライバルたちが休んでいる時に勉強し、皆が勉強している時に休むというような「ランダム化」戦略は、実際にやってみると予想以上に効くものである。

どうだろう、皆さん、この「悪魔のささやき」に素直に耳を傾ける勇気をお持ちだろうか。