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退却のこころ

先週からの続き。「一時的ではなく、かなりの長期間にわたって、ヤル気のヤの字の最初の一画も出ない受験生」の話である。

わたくしQ氏の指導経験からは、あまりにもヤル気が出ぬまま無為に時間を過ごしている受験生は、やはり何らかの意味で「心を病んでしまっている」場合が多いと思う。

ご本人は苦しい。苦しいが、勉強できない。やらないというより、できない。

 

心が健康な人というのは、やる時はやらないといけないことが分かっていて、しかも「やれる」のである。多少の先延ばしや出遅れはあっても、「やるときゃやる」のが「普通の人」である。「間に合わない」人ならたくさんいるが、ともかく、やり始めるだけは始める。

 

が、それさえできない人には、もともと何らかの「こじれた心の問題」が存在しているケースが多いようだ。

そしてほとんどは、その根本問題を解決する方向に踏み出さない限り、ヤル気を出すことなど、いつまで経ってもできない。

本人は周囲の白い目に反発しながらも、不マジメの烙印を押されていることを非常に気に病み、自暴自棄になっているのが普通だ。

 

冷静に、客観的に見て、あまりにも病的にヤル気が起きない受験生は、自分が精神的に「やられてしまっている」ことを真っ先に疑った方がよいと思う。

客観的になど、なかなかなれないとは思うが、つとめて客観的に。

 

受験指導に当たるわれわれ講師は、受験生にいくらでも厳しいことを言える。現実の厳しい結果をただ正確に伝えるだけで、受験生にとってはこの上なく厳しい言葉になり、グサグサとハートに刺さる。

が、厳しいことを言われて反省し、改善できるのは「健康な人」であって、もはや改善しようがないくらいグダグダになってしまっている受験生には、ありきたりの説教は無駄なのである。

必要なのは、メンタルケアだ。自分がお医者さんになる前に、やむを得ず、そして無理をせず、先輩のお医者さんの力を借りた方がいいことがある。

 

ブンガクは人間の個性に着目し、それを造形しようとする。が、生物としての人間というのは意外に画一的な存在で、似たような条件下では、多くの人が似たような病を発症する。

その場合、治療法があるのなら、そして問題を根本から解決したいのなら、自分の状態を正しく認識し、前向きに治療と取り組んだ方がよい。

 

「悩める無気力受験生」の心の問題というのは、多岐にわたると思う。Q氏は専門家ではないから、あまり多くのことを言えない。受験期は一部の精神疾患を発症しやすい年齢でもあるから、受験生の様子があまりにおかしいようならば、家族や周囲の人が医師に相談した方がよいだろう。最もよろしくないのは、受験生の不調にあまりにも無頓着な家族だ。

 

が、この種の無気力タイプの受験生については、たいていの場合「こじれた人間関係」が背後にあるというのが、長年Q氏の観察するところである。

 

かなり重い、デリケートな話題に踏み込みつつあるが、このへんでまた稿を改めよう。