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身のほどを知るということ

マウンティングが大好きな「性格の悪い」受験生はかなりの高率で大学に落ちる。これは、大学受験指導にそれなりの長期にわたって従事している、わたくしQ氏の経験則だ。

だから、まじめに努力している謙虚な受験生は、ひとまず安心すべし。雑音はシャットアウトするまでの話だ。天国はあなたがたのものである。

高慢ちきなヒトには教訓が必要である。こういう機会でもない限り、自分の浅はかさを骨身にしみて知ることもないのだろう。他人の不幸を喜ぶわけではないが、そういう人は落ちてちょうどよいのだと思う。大学は来年も受けられるのだから。がんばれ。

 

が、不思議は不思議なのである。なぜ、性格の悪い受験生は落ちるのか。

 

「神や仏が実在していて、バチを当てるのだ」

 

という検証不能な仮説は魅力的だが(Q氏は人生の紆余曲折のあげく、だいたいこれに近い信念を持つに至っている)、イエスともノーとも言えない。

よく絶対的にノーだと言い切る人がいるが、論理的に突き詰めれば突き詰めるほど、ノーだとも言えなくなるから(詳細は哲学や科学論の本をいろいろ読んでみてほしい)、否定する人の意見も「信念」でしかないのである。よく現代文でやる話題でしょ。

そうかと言って、安易にイエスだとはなおさら言えない。だから、賢者は昔から怪力乱神を語らず、という。

 

が、Q氏は、少なくともこの現象の一部ならば、合理的に説明できると考えている。

 

受験生諸君は「ダニング=クルーガー効果」をご存じだろうか。あまりにも経験則に一致するので、さいきんネットでもよく言及されるようになった。心理学者のダニングさんとクルーガーさんが、実験結果から立てた仮説である。

 

ズバリ、「能力があまり高くない人ほど、自分の能力を過大に見積もりやすく、能力の高い人は、逆に自己評価が低めになりやすい」という心理傾向のことだ。

 

要するに「大したことのない、ザコっぽい人ほど自信満々」という、薄々そうなんじゃないかな…と思っていた現象が、研究によって裏づけられたわけである。お店のお客さんなどを観察していると、悪いけどハッキリ分かるよね。

 

「マウンティング野郎が大学に落ちる現象」のかなりの部分は、これではないかと思う。つまり、マウンティング大好きな受験生は、残念ながら、最初からあまり能力が高くないのである。

 

ダニング=クルーガー効果は、その人が熟知している分野については起こらないという。よく知っている領域ならば、自分が能力面でどのへんに位置するのかもよく分かるし、実力上位者になるために克服しなければならない課題もよく分かるからだ…とのこと。つまり、誰でも未知の分野では、自分の力を過信する罠に陥りやすいということだ。

 

マウンティング大好き受験生をせいぜい好意的に見るとしても、「志望校合格に必要な全行程を踏破してもおらず、合格のために何がどれだけ必要なのかさえ、完全には分かっていない状態」なのに、「比較的軽い努力で志望校突破の水準に近づくことができる」と思い込んでいるのだろう。

だからこそ、自分が受けても受からないような大学に関し、あの大学は偏差値ガー…うんぬんの「偏差値グルメ」をやり始めるのである。

孤独のグルメ

 

…だから、マウントを取ってくる友人に悩まされている受験生は、完全スルーが正解だ。あーこの人、ついに×亡フラグ立ったな…と思い、内心憐れみつつ、にこにこしながら話を聞くふりをするだけでよい。ついでに「××くん(さん)ってすごいんだね! どんな大学でも受かりそうだね! 尊敬しちゃうな!」と、わざとらしくひとこと言い放ち、内心「…ヘッ!」とか唾を吐きながら、さっさと自分の勉強に戻ること。つきあうのは馬鹿らしいし、心をかき乱されるのはなおさらアホらしい。

受験においても「身のほど知らず」はダメだということである。

 

が、受験生諸君の中には「そういう雑魚の話じゃなく、確かに成績もずば抜けていて、模試でも勝てない相手が、実績をカサに着て他人を見下す態度をとってくる。それが悩みなんです」という人もいるだろう。

 

確かに「他人を見下すデキる人」というのも大きな問題で、大人の社会にも歴然と存在する。相手がデキる人だけに反論できず、実にやっかいである。

こびりついたおフロの汚れ並みに、やっかい。

 

しかし、この「優秀だが性格の悪い人」問題も、最終的にはあまり恐れる必要がないと、Q氏は考えている。次週は、その問題の分析から入ろう。