先日出題したチャレンジ問題は当記事で完結します。
まずは問題の再掲です。
【チャレンジ問題】a,b,cは正の実数で、a+b+c=1を満たしている。
このときa²+b²+c²≧1/3(3分の1)が成り立つことを証明せよ。
前回はコーシーシュワルツの不等式を利用した解答を紹介しましたが、今回はさらに確実性が高く、応用範囲も広い強力なテクニックで解いていきます。
是非とも習得して大幅なレベルアップを図ってください。
まず問題文の言い換えを行います。
この問題文を言い換えると
「a,b,c>0 a+b+c=1の条件のもとで、多変数関数a²+b²+c²の取り得る最小値が1/3であることを証明せよ」
ということになります。
そこで多変数関数の値域を求めるためのテクニックを用いてこれを示すことにします。
多変数関数のとりうる値の範囲を求める方法として、大学教養課程の数学を持ち出すならば「偏微分」を使うことになりますが、これを大学入試の答案に用いることは全くおすすめ出来ません。
確かに答え自体は驚くほど簡単に求まります。
「停留点」といわれる点(座標)を求めてその数値を代入するだけです。
しかし、そこで求めた停留点がその多変数関数の最大値(最小値)を与える点であるかは厳密な議論が必要(詳細は割愛)で、それを大学入試の答案で記述するのはコスパを考えるととても割に合いません。
そこで、偏微分法と類似した考え方に基づいた「1文字固定法(予選決勝法)」とよばれるテクニックを用いて解いていくことにします(問題集でも定番の解法です)。
「1文字固定法(予選決勝法)」の手順を簡単に説明すると以下のようになります。
①他の文字を定数として固定し、1つの文字だけを変数として動かして最大値(最小値)を求める(最大・最小値の予選)
②残った文字について同じように1つずつ変数として動かしていき、最終的な最大値(最小値)を求める(決勝)
さて、解答についてですが、これは板書したものの画像を以下に貼っておきますので、読んでみてください。大多数の受験生が引っ掛かると思われる落とし穴についても言及していますので必見です。
結構泥臭い方針ではありますが、ほぼ多変数関数の最大最小問題が出題された場合にほぼ確実に解ける手堅い方法です。
東大理三・京大医学部・阪大医学部への合格・あるいは数学の難度が高い単科医科大学を目指す受験生の皆さんは確実に習得しておきましょう。
演習価値の高い良問や面白い問題など、また機会を見て扱っていこうと思います。
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