昨日出題いたしました近大医後期数学予想問題1の解答・解説を書いてまいります。
まず初めに問題の再掲です↓
第1問:隣り合う2桁の自然数A,B(ただしA<Bとする)を用いて、4桁の自然数
AB、BAを作り、これをそれぞれN(A,B)、N(B,A)と表す。
例えば、(A,B)=(13,14)のとき、N(A,B)=1314、N(B,A)=1413である。
(1)N(B,A)-N(A,B)=99であることを示せ
(2)N(A,B)は101で割ると1余ることを示せ。
(3)N(A,B)のうち、47で割り切れるものをすべて求めよ。
答えについてはN(A,B)=7778、8586・・・のように書くこと。
【解答】
(1)A,B(A<B)は隣り合う2桁の自然数、N(A,B)およびN(B,A)は4桁の自然数
であるから、B=A+1、10≦A≦98・・・① が成り立つ。
《⇑問題の条件・設定を数式で表す。これは数学の問題を解くにあたっての基本中の基本です。簡単なようですが、国語力とは少し違う意味での“読解力”を要します》
∴ N(A,B)=100A+B=100A+(A+1)=101A+1・・・②
N(B,A)=100B+A=100(A+1)+A=101A+100・・・③
《⇑これも問題の条件・設定の数式化です。1314=1300+14=13×100+14といった認識さえ出来ればいいのですが、これが初見で出来るのが「数学的センスが(少し)ある人」というのでしょうか。もちろん出来なくても大丈夫です。経験を通して習得すればいいだけです》
②・③より、
N(B,A)-N(A,B)=(101A+100)-(101A+1)=99(証明終)
(2)②より明らかにN(A,B)は101で割ると1余る(証明終)
(3)〈(2)の結果より〉101A+1=47m・・・(※) を満たす自然数A,mの組(ただし、
10≦A≦98)を全て求めればよい。
(※)を変形すると47m-101A=1・・・(*)
一次不定方程式(*)の特殊解について、以下のようにユークリッドの互除法を適用し、
これを遡っていくことで、(m,A)=(43,20) が得られる。
101=47・2+7
47=7・6+5
7=5・1+2
5=2・2+1
⇓ ⇓
1=5-2・2
=5-(7-5・1)・2
=5・3-7・2〈⇐途中で検算(1になるかどうか確認)をしておくこと〉
=(47-7・6)・3-7・2
=47・3-7・20 〈⇐ここでも検算(1になるかどうか確認)をしておくこと〉
=47・3-(101-47・2)・20
=47・43 -101・20〈⇐当然最後でも検算(1になるかどうか確認)をしておくこと〉
47m-101A=1
47・43-101・20=1
これらを辺々引くと、47(m-43)-101(A-20)=0 が得られる。
すなわち 47(m-43)=101(A-20)
ここで47と101は互いに素であるから、
m-43=101k A-20=47k(ただしkは整数)と表せる。
よって、(m,A)=(101k+43 , 47k+20)(kは整数)
また、①より10≦A≦98 であるから、10≦47k+20≦98
したがって、k=0,1に絞り込める。すなわち、A=20,67に絞り込める。
以上から、求める答えは N(A,B)=2021, 6768
【出題(作問)意図】
近大だけでなく多数の国公立私立大学医学部で近年頻出する「一次不定方程式」を
メインテーマにしていますが、少しスパイスを加えて「条件・設定の数式化」すなわち問題文の「読解」がしっかり遂行できるかを問う問題にしてみました。
難易度は標準かやや易しいくらいです。
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